風がふいても負けずにクルトン!!!!!

元役者の会社員クルトンが、いろいろ書くブログ。

狂気じみた旧家の世界へようこそ。米澤穂信さんの推理小説「儚い羊たちの祝宴」

Odai「一気読みした本」

 

  狂い始めた時計は、傍からは狂い始めたようには見えないのです。

  ただ秒針がわずかに他とずれているだけで。

 

と、意味深な台詞をのたまいましたが、

はてなブログのお題に挑戦してまいりたいと思います。

 

近頃一気読みした本はこちら。

米澤穂信さんの短編推理小説、「儚い羊たちの祝宴です。

 

※ネタバレを含んだ感想がありますので、未読の方はお気をつけください。

 

儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

 

連絡短篇集です。

「秘密の書架」を共有する二人を襲う、酸鼻な不幸。「身内に不幸がありまして」。

その屋敷の一室には、空を紫に塗った絵がかけられている。「北の館の罪人」。

愛らしく、それでいて人跡まれな山荘に、遭難者が消えた。「山荘秘聞」。

わたしの弱さは生まれつきのものだったのだと、いまになって思う。「玉野五十鈴」。

「バベルの会」を除名された元会員は、知りたくなかった真実を知る「儚い羊たちの晩餐」。

引用元:汎夢殿(作者ご自身のサイトより)

 

全編を通じて旧家が舞台となっており、どことなく退廃的な世界観。

どの物語も最後にヒヤリとするラストが待ち構えています。

作者・米澤さんの文章の上手さに圧倒されながら一気に読み進めました。

 

推理小説と銘打っているので、もちろん人がバタバタ死にます。

ただこの本に関しては、「そんな理由で人を殺すの?」という意見もあるようです。

個人的には、

掟や慣習、礼節、名声に縛られた名家から、

異常な妄想に囚われたお嬢様が誕生したり、

自身が勤める館に異様な執着を見せる使用人が現れたり、

突拍子のない、狂気じみた展開が気に入っています。

 

その中では「玉野五十鈴の誉れ」のラストは

ほんのわずかに人間らしい感情を感じさせますが、

張り巡らされた伏線の回収方法が最も不気味です。

例の唄がこんな使われ方をするなど、

当時の人々は思ってもみなかったのではないでしょうか。

 

最も凄惨な気配を感じたのは、「儚い羊たちの晩餐」。

令嬢が厨娘(女料理人)に調理するよう命じた「材料」についても

もちろん物語の肝ではあるのですが、

使用人にさらりと命を下し、自身は手を汚さないという、

理知的な奸計には舌を巻きます。

本作のラストに相応しい凄惨なラストが用意されているという点で、

展開の妙に惚れ惚れするのはわたしだけでしょうか。

 

 

 

最後に、

旧家で巻き起こる殺人事件と聞いて心がときめく方は、

実際に頁をめくって楽しんでいただきたい作品です。

 

余談ですが、まだ読了後の余韻が残っています。

作中には文学作品名が数多く登場するのですが、

世界観を懐かしむ為にも、

近々江戸川乱歩の悪夢めいた物語に飛び込もうかしら……!

 

ではでは。

クルトンでした。